【バルサイユの薔薇】
〜ラスカルとオンドレ編〜

2005年11月/鼻組



新生鼻組のトップグループお披露目公演。
未知の可能性を魅せてくれた舞台だった。






まさか舞台上に炊飯器が出てくるとは…!

まずそこに驚いた。
従来の「バルばら」とは違うアプローチをしたいという劇団側の意向は耳に入っては
いたものの、まさかこういう形で来るとは思いもよらなかった。
ラスカルが衛兵隊と市民を従えて炊飯器を抱えながらダンスをするのだ。

他にも新しい試みはあった。
アンタワネットがフライングで空を飛んでいた。
史上初の空を飛ぶ王妃だ。

オンドレは死の場面で見事な階段落ちを見せてくれた。






ここで役者ひとりひとりに焦点をあてていこう。


まずはラスカル役の麻霧誠馬。

殺陣が得意だと言うだけあってバスティーヌの戦いの場面では
客席降りまでしてバッタバッタとお客を投げ飛ばしていた。
投げられた客が一様に『ぎゃー』と声を上げていたのが忘れられない。
前出の炊飯器の場面では、ダンスをしつつおにぎりを握っては
客席に投げつけていた。何か嫌なことでもあったのだろうか。
だが、その情熱に溢れた演技がラスカルにはまっていた。
どうやら涙もろいらしく、幕開きでいきなり泣き出したのには驚いた。



次にオンドレ役の風輝さちさ。

体当たりの演技だった。吉本新喜劇でいう島田珠代のような感じだ。
あちこちの壁にぶつけられては「優しいのねv」を連発していた。
そして死の場面では決死の階段落ち。
フィナーレでも大階段から落ちるというエンターテナーぶり。
まったく頭が下がる。
「今宵一夜」では流れ星と一緒に流れていた。
あの技術は男役12年目という自信の現れか。




最後にアンタワネットの詩文ひろ。

今回アンタワネットは物語には絡んでこない。
だが、最初から最後までフライングで飛んでいたので目立っていた。
美味しい役所、といったところだろうか。
だが、途中で居眠りしていて、オンドレが撃たれた銃声でビクッ!と起きたのを
著者は見逃さなかった。
舞台前に睡眠は充分にとっておいた方が良い役でもあるだろう。






鼻組は進化し続けている。
次はどんな舞台を見せてくれるのかが楽しみだ。
次回は新しく参戦する姫咲しほらのお披露目公演。
初日に観に行く予定である。

【夕日新聞評】